《悲しいことを「悲しい」と伝えること、苦しいことを「苦しい」と伝えること、つらいことを「つらい」と伝えることも、勇気が必要です。》
自分のココロの内を人に伝えるというのは、なかなか勇気がいる。
喜怒哀楽様々な感情があるけれど、人はその感情をいつも素直に出しているかといわれると、そうでもない。
好きでもない恋愛映画を見て「感動したね」という相手に合わせて「うん」と答えたり、立場上指導していただけの上司に対して「あんな言い方されたら誰だってムカつくよな」と逆ギレしている同僚に同意を求められて「うん」と答えたり。
まぁ人のココロが自分と同じなんてことはないけれど、それに対して「いや、違う」「いや、そうは思わない」とすべてに反応する必要もないし、10あるうち、5.5そう思えば「そうだね」と同意することも多いのではないだろうか。「適当に返事すんな」と言われることもあろうが、笑い話で済むならそれはそれで有りだと思う。この「なんとなく同意感」は円滑な人間関係を築くためのコツとも言える。
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数年前の4月、
人事異動があって本社数名の顔ぶれが変わったのだが、5月に入って間もなくそのうちの1人が休みがちになった。会社の勤務は基本的に週休2日。
その方は、日曜の夜になるとなんとなく目が冴えて眠れなくなり、月曜の朝、出社途中の駅に到着して電車を待っている間に腹痛が起こる。その状態で出社することもあったが、そのまま家へ引き返すこともあった。
このようなはっきりした症状が最初から明確に出るわけではなく、就業時間が終わるとホッとするとか、週の中頃になると疲労感が半端ないなど、これといって特別これが原因だろうと判断できるものはなかった。なぜなら、度合いは違うにせよ、これらの疲労感は一般的に他の人でも感じるものだからだ。本人も、繁忙部署に異動してきたばかりで仕事の要領も得ず、むしろ一時的にバタバタするのは仕方がないと認識していた。
それに加え、その方に対する周囲の評価は高く、「抜擢されたのだからできる人だ、今は不馴れで要領得ずともすぐに頭角を表すだろう」と期待する人たちが多かった。
その後その方は、異動して2ヶ月過ぎた6月上旬、1か月の休職の診断がなされ、完全復帰するまで復職と休職を繰り返すことになる。
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どちらかというと大人しく、いい人そうなその方が、
どういう経緯で本社勤務になったのかわからないけれど、周囲が言うように「本社勤務を熱望していた」というわけではないし、周囲が感じる「力強い印象」とは少々違ったように感じた。本人は「自分にはバリバリ仕事をさばくほどの能力はない」と自分を過小評価する。当時の状況だとそれもあるかもしれないし、「能力はあるけどできなかった」のか、本当のところはわからない。理由は1つではなく様々なのかもしれない。本人も自分のことなのに、自分がどうしたいのか自分のココロが今どうなっているのかよくわからないという印象だった。
ただ1つわかっているのは、「出勤できなくなってしまった」ということ。
どうして、なんで、何があったの?ではなく、まず今の状況を認識して、自分のココロがよくわからないということ受け入れることが大切なんだと思う。
悲しいことを「悲しい」と伝えること、苦しいことを「苦しい」と伝えること、つらいことを「つらい」と伝えることも、勇気が必要です。
仕事を休みがちになっていることに後ろめたさを感じたり、他の人に負担をかけている、「こんな自分、全然だめだ」と卑屈になったりする。他人に迷惑をかけた状態で「どうしてほしい」なんて言えない、「おこがましい」などと思ってしまう。人に迷惑をかけていると思い詰めてますます卑屈になってしまう。さらに、体がいうことをきかない。何かしようとしても、だるくてできないのだ。なんでだろう・・・色々なことを考えながら、そうやって自分で自分にストレスをかけ、自分で自分の体調を悪化させ、物事を悪い方へ暗い方へ考えてしまう。
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少し落ち着いたら、
自分のココロに目を向けてみませんか。
もっと自分のココロに正直になって自分を大切にしてみませんか。
いつも他人を気遣って親切にし、他人の気持ちを優先してやりたくないことを引き受け、やりたいことを他人に譲って我慢する。あなたはそういうことを繰り返してきたのでしょう。そんなあなたが、自分の「悲しい」「苦しい」「つらい」を口に出して訴えたところで文句を言う人など誰もいません。
たとえあなたがあなたの知らない人にあなたの「悲しい」「苦しい」「つらい」ココロの話をしても、あなたの話を十分聞いてくれると思います。他人を優先してきた優しいあなたなら、自分の話を聞いてくれる人を選んで話をするだろうから。
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悲しいことを「悲しい」と伝えること、苦しいことを「苦しい」と伝えること、つらいことを「つらい」と伝えることも、勇気が必要です。
あなたにも「悲しい」「苦しい」「つらい」を伝える勇気をもってほしい。
それを口に出して言ってみてほしい。
話せる人がいないなら、つぶやいてみる。
それができたら次は人に伝えてみる。
元気がなくなってしまった優しいあなたが勇気をもって「つらい」ココロを打ち明けたとき、寄り添ってくれる人は必ずいます。周囲の人たちは、あなたが元気になっていくのを見て安心するでしょう。
優しいあなたは「周囲の人たちが安心するなら勇気を出してみよう」なんて、またもや他人重視の発想で自分について考えるのかもしれないけれど、それであなたが元気になるのなら、やってみたらいいと思う。他人を大切にするあなたらしいやり方なのだと思う。
他人の話を話半分で聞いてうなずいて「適当に返事すんな」と笑われるくらいでちょうどいい。この「なんとなく同意感」は円滑な人間関係を築くためのコツであり、あなたのココロさえ豊かにできる。
できる限りいつも、自分自身を大切にしてほしい。
自分自身を大切にするために、少しだけ勇気を出してみよう。あなた自身、ココロが豊かになる。あなたのココロが豊かになれば、周囲の人たちのココロも豊かになる。
やってみよう。