《「頑張ってね」の言葉に励まされ、「頑張らなくてもいいよ」の言葉にふと肩の力が抜ける。ふたつの言葉は相反するけれど、どちらも相手を思いやる優しい言葉》
日本の自殺者は
1998年から2011年の間、3万人を超えていた。2012年から徐々に減少し、昨年は20,169人。
生涯うつになる人の割合は15人に1人、患者数は100万人を越えている。そのほか、5人のうち3人は受診していない患者と言われ、受診していない患者は統計に入っていない。
世界の死因3位に自殺が含まれ、その要因となる「うつ」及び「統合失調症」をはじめとする健康問題は、世界でもっとも患者数の多い疾患になりつつあると言われている。
いまや精神科に受診することは
特別なことではない。病院名も「○○クリニック」「こころの△△センター」「診療内科」などと柔らかい表現で表記され、病院の門をくぐるという観点からしても、受診に対する抵抗が以前より少なくなっている。それでも受診することに抵抗があるならば、「カウンセラー」を頼ることもできるし、顔を見ずして電話相談を受け付けてくれる窓口もある。
今の小中学生に「話相手はだれ?」
と訪ねると「犬」と答える子がいるそう。
理由は「何も言わず黙って聞いてくれるから」
これ、わかるなー・・・。
自分もそうだった。
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犬種によっては人間の4歳児の能力をもつ犬。
こちらが辛そうに話しかけていると、こちらの気持ちを察してか、じっと黙って話を聞いている。
「何くだらんこと言ってんの」
「それってダメじゃん」
「相手も悪いけど、お前も悪いよ」
などと、絶対言わない。
自分にも話相手がいないわけでもないが、聞き手にアドバイスや意見を求めてるわけではない。聞き手の感想なんかもいらない。指南されたくもないし、ダメ出しなんて求めてない。ただただ黙って聞いてほしいだけなのだ。ただ黙って「そうか」「そうだったんだ」と今の自分を受け入れてほしい。
「頑張ってる」「頑張ってない」「頑張れ」とかでもない。ただ自分の話を聞いて今の状況を受け入れてほしいだけなのだ。
自分の話を聞いてくれ。
お願いだから黙って聞いてくれ。
こういう心境。
自分に向けてこういうを気持ちを打ち明けてくれる人がいたら、まずは「話をしてくれてありがとう」と言っている。
「頑張ってね」「頑張らなくてもいいよ」でもなく、
「話をしてくれてありがとう」と。
「この人なら聞いてくれるだろう」と勇気を出して自分を頼ってきてくれた人に、「俺を頼ってきたんだな、よしよし。」ではなく、「気持ちを打ち明けてくれてありがとう」という気持ち。
こんなふうに広く豊かなココロで受け入れられるなら、それだけで話し手と聞き手は信頼関係を築くことができるだろう。
「頑張ってね」「頑張らなくてもいいよ」
の相反する優しさを「話す」「聞く」という行動によってお互いを思いやっているようなものだ。
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●いざ出陣、の時に「頑張ってね」という励まし。
その言葉に奮起する瞬間
●一生懸命頑張りすぎて体調を崩してしまった人に「頑張らなくてもいいよ」という声かけ。
その言葉にふと肩の力が抜ける瞬間。
これらをタイミングよく伝える事ができるなら、
それらをうまく受け入れることができるなら、きっと人生もっとうまくいく。
何も言わずに聞いてほしいという人がいたら、
何も言わずに聞く。おそらくあなたを信用し、勇気を出して頼ってきたのだから、その人の話す言葉とココロに気持ちを向けて傾聴し、受け入れてほしい。
豊かなココロで傾聴できるなら、
話し手はもちろん、聞き手の人生も、もっともっとうまくいく。
優しい気持ちを言葉にしよう。優しい言葉は人のココロを豊かにする。思いがあるなら言葉で伝えよう。
言葉にする事と言葉にせずに傾聴すること。
これら2つも相反する行為だけれど、どちらも相手を思いやる優しい行為。
たとえ相反する言葉や行為を使っても、相手を思いやるココロに違いはない。