《他人に期待しないこと。人は気まぐれで完璧ではない。裏切られるのも言うことを聞いてくれないのも冷たくされるのも全部気まぐれ。だから他人に期待するのをやめて「相手に良いことをした」という自己満足だけで十分。》
人が複数で行動する場合、必ず誰かに依存する。
依存されると決定権を持つし、依存する方はそれに従える。
Ⓐ「君が決めてくれ」
Ⓑ「わかった、こうしよう」
という関係はとてもスムースと思う。
そこには、気まぐれや裏切りは存在しない。
お互いの不得意部分を補い合っているから、人間関係に強烈な不具合がない。
この場合、
「Ⓐが素直な人だから」
「Ⓑはココロの広い人だから」
というように、誰かが特別いい人だから上手くいってるわけではない。
それぞれ個性の組み合わせがいいのだ。
5人中5人「君が決めてくれ」タイプだったら、物事はなかなか決まらないし、5人中5人「こうしよう」タイプだとしても、物事は進まない。
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以前、一時的に開設された部署の責任者を任されたことがある。12名程度の部署で期間は約1年。
本来なら、各人が与えられた担当業務をこなすことにより、全体の事業が回るよう分担していくのだが、1年期限付の部署であり、無駄な時間を省くため担当業務にこだわらず、それぞれ得意分野を受け持つ形で仕事を分担していった。
さらに
「あなたの分の○○をするので、これを手伝ってほしい」
と個人間で業務を依頼、交替することも推奨した。そのかわり、仕事量の大きな偏りがないように
「誰かに頼む時は、頼む以上のものを引き受ける」
という約束ごとと、イレギュラーで業務交代した場合の業務量は定期報告することの2点を守ってもらった。
この12名のうち、会社で評判の良くない個性的な人も多く含まれており
「全員一丸となってがんばるぞ!!」
という雰囲気からはほど遠く、自分的にもそれを求めなかったので、たいしたコミュニケーションもない殺伐とした部署だった。
一方で
「得意分野を生かし、もくもくと働くよい部署だ」
と見てくれる人もいた。
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得意分野だけやらせるなんて人材育成にはならない、とも言われたが、得意分野が伸びるならそれも人材育成の1つだし、そもそも人を育成するのに何が良くて何が悪いかなど、誰も明確に答えられない。私は、この期限付の1年間を、効率よく人と時間を運用し、業務を進める事に重点をおいた。
期限付1年間部署には、職場の嫌われ者が半分以上いたため、当初の印象は「やりずらさ」のみ。
当然、この部署でうまくやれることなど期待していなかった。私を補佐してくれる1名の方も滅多に話さないのに、不快感を与える口調と態度で周囲に誤解を与える事が多かった。仕事のペースも遅く、ちょっとしたことで滞る。
ほどなくして、気付いたのだが。
その方は寡黙であり、滅多に話すこともないが、周りをよく見て人の気持ちを察していた。仕事の負担が増えていそうな人をなんとなく掌握しており、仕事が遅いと感じるのは、私の大雑把な計画の足りない部分を修正、調整そして調達していたからだった。滞るどころか、円滑に進めてくれていたのである。
私はこの部署で、うまくやれることなど期待していなかったが、それぞれの個性を尊重することで、結果的にお互いを助け合う形になっていた。
人は、認められると他人を認めようとする。
それも自主的に。
人は人に期待する。
「こんないい人だったらうまくやってくれるだろう」
「こんな愛想のない人だったらダメだろう」
などと、勝手に期待したり落胆してしまう。
でも、そんな「期待」や「がっかり」は必要ない。
自分にない個性を持つ者同士、お互いをサポートし合えるならそれで充分だ。
自分と合わない人に
「裏切られた」
「言うことを聞いてくれない」
「冷たくされた。」
などと悪態をついてしまいそうだが、そんな事を思う必要はない。
その人の気まぐれか、あなたと個性が合わないだけなのだ。
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私が求める仕事の相手像は「しっかり仕事をする人」である。
もし、ほかに期待をするのなら、大雑把なものを1つくらいあってもいいかもしれないが、私の場合、「しっかり仕事をする人」であれば、どんな人でも構わない、そう思っている。多くを期待しないということだ。
あなたがその人に期待してたのに、その人があなたの期待に応えられなかったら
あなたはその人を責めるのか?
なんと言って責めるのか?
口に出して?ココロの中で?
期待するのは悪いことではない。
ただ、うまくいかなかった場合
「期待してたのに」
という言葉は不毛だ。期待しすぎたあなたの方が悪い。
人が人に多くを期待したところでどうにかなるものではない。期待してもしなくても、おそらく結果は変わらない。自分以外の人が自分の期待通りに動くわけがないからだ。
とはいえ、
もし、期待に応えようと努力している人がいたら、
努力してることを認めて、労うことを忘れないでほしい。
そして、 自分が誰かの期待に応えようと努力していたなら
「自分自身を労って」ほしい。
「人にいいことをした」という自己満足以上の功績があなた自身を成長させるから。
自分の期待が多くを動かすなんておこがましい。まずは自分が人の個性を受け入れる努力をする。人に期待する前に、自分のココロを広く、豊かにするところから始めよう。